複式簿記での経費の支払いの記帳方法

ここではアフィリエイトなどのインターネットビジネスの経費の記帳について語りますが、他の事業の方も参考になります。わくわく青色申告を使った解説です。わくわく青色申告などのパソコンソフトをお持ちでない方は、ここを参考にして下さい。

経費とは

事業に必要な諸般の費用が経費です。ですから、仕入れなどの販売原価は経費ではありません。アフィリエイトなどでは仕入れはありませんので、必要な費用は経費になります。
ネットショップ運営など、仕入れたものを販売する場合は、仕入れに掛かる原価は、仕入れになります。その他の物が経費です。しかし、基本的に記帳の方法は同じです。原価は仕入れの課目で記帳して、経費は経費の課目に記帳します。
ただし、仕入れを買掛でおこなった場合は、掛けで買った時と、実際にお金を払った時の二回に分けて記帳します。売り上げの売掛と、入金のパターンと同じです。経費の場合も、クレジットカード決済でお金を払う場合もありますが、買掛金で記帳しません。買掛金で記帳するのは仕入れです。

 

経費の記帳

 

経費

 

これは、広告宣伝費を銀行から振り込んだ場合です。その他の品目も同じです。振込手数料が記載してあります。振込料などが無い場合は、それは削除してください。

 

さて、現金から支出した場合です。
経費
パソコン備品を消耗品として買っています。ここではパソコン備品の補助科目を作っていますが、備品の課目で記載しても結構です。いずれにしても備考に何を買ったか記入しておくと後で困りません。

 

では、事業の資金からではなく、個人の資金から事業用の経費を支出した場合です。
経費

 

借方は同じですが、貸方が事業主借に成っています。事業主が個人的に支出したという意味です。この記載は、銀行から出そうが、現金から出そうが、又は、個人のクレジットカード(引き落とし口座が個人の口座)で決済しようが、同様の記載です。
クレジットカードの場合などは、後で決済になりますが、この場合は、購入日でこう記載します。個人のお金の動きや個人の口座内容は、事業には関係ありませんので、只単に、事業主が個人のお金を使って経費を出したという意味で、事業主借という課目で記載します。
個人事業主は会社ではありませんので、事業主のお金も事業のお金もすべて事業主の物です。しかし、事業のお金の動きは、厳密に記帳しないといけませんので、相互の動きはこう言う記載にします。なお、事業主が事業のお金を個人的なことに使った場合は、事業主貸という課目を使います(のちに詳しく説明します)。

 

家事按分について

 

光熱費などを経費として記載する場合もあります。自宅と事務所が別れている場合は、問題ありませんが、自宅を事務所としている場合は、事業で使った分と、個人的に使った分を分ける必要があります。また、賃貸料がある場合も、個人の割合と事業での割合を分ける必要があります。これを按分(あんぶん)と言います。
按分割合は、自由に決められますが、もちろん、合理的な根拠がないといけません。
電気代などを事業で使っている場合(パソコンや照明使用)は、使用ワット数などで割合を決めたり、使用しているコンセントの数の割合で決めたりします。後で問題になった場合、大体こんな物だろうという、いい加減な決め方では通りません。しかし、大体、事業での使用が3割程度ぐらいまでなら、あまり問題にならないと思います。
電話代、携帯代などは、事業用のものと、個人用のものと同じであれば、使用割合などで按分を決めます。通話明細などを見れば大体わかると思います。
事業の種類によりますが、事業に関係無い費用は記載してはいけません。もちろん、事務所が自宅と別であれば、事務所に係わる経費は全額記載して構いません。

 

考え方としては、説明を求められたとき、合理的に説明できる範囲で按分を決めて下さい。記帳は、事業で使った分だけ記載します。
例えば、電気代の按分が2割であった場合、月の電気代が15800円では、2割の3160円を電気代として記載します。

 

個人費用から払っている場合

経費

 

こちらは、個人用の口座から、電気代を払っている場合です。個人の口座からは15800円が引き落とされていますが、按分の2割の3160円を記載し、事業主借の課目で処理します。単に事業主が事業の資金として個人的に3160円を負担したという記載です。

 

 

もし、上記の記載方法で、生活分を含めて、すべて記載していた場合(記載する場合)は、期末(年末)に一括按分処理します。
年間の電気代が100000円であり、事業の使用割合が2割であった場合、家事使用分が80000円です。
経費

 

帳簿の電気代から、個人使用分8万円を除外し、事業主がその分を個人用のお金として引き出したと言う意味です。

 

事業用の口座から引き落とす場合

事業用の口座などから、電気代などを支払う場合、普通は按分せずに全額を記載します。そして、期末に一括按分処理をします。

 

月々の記載
経費
普通の経費の支払いと同じです。按分はともかく、実際にこの金額が引き落とされるのでこう記載します。

 

期末の処理
経費
個人用口座から、引き落として按分処理をしていなかった場合の一括処理と同じです。
年間の電気代が総額10万円で、家事使用分が8万円の場合の一括処理です。

 

按分処理のまとめ

 

生活按分を行わなければならない経費では、個人用の口座などから支払っている場合は、基本的には月々の記載で按分します。その場合、事業用で使用した割合を、事業主借で事業主が負担したという記載をします。

 

事業用の口座などから、引き落としている場合は、月々の記載は按分せずにそのまま記載します。他の経費の記載と同じです。
そして、期末にその決算期の全部を集計して、一括按分処理をします。生活費に使った分のお金は、事業主が個人的に事業用資金から使用したと言うような処理です。
集計は、集計資料の中の勘定明細表を参照して下さい。その際、表示月を12月にすることをお忘れなく。

 

家事按分割合は、最初に合理的に決めて、月々変更しません。事業分が2〜3割程度であれば大体でも構わないと思いますが、それを超えるようであれば、計算根拠を記載した書類を作って用意して置いた方がよろしいです。そういう書類があれば、税務署から質問が来たときにも安心です。

 

なお、共通で使用している場合は、自動車などの購入費や経費なども按分しますが、事業での使用割合が極端に低い場合、一回の使用に対して、車両の使用料として支出した方が合理的です。つまり個人の自家用車を事業に使った場合、日に千円とか二千円を使用料としてあなた自身に払います。
あなたは個人領収書を書いて受け取ります。記載は、経費を現金で払った場合に準じてください。賃借料か旅費交通費の課目の中に車両使用料や車両損料などの補助科目を作って下さい。なお、ガソリン代は別に実費や自分の基準に従って払うと良いでしょう。

 

クレジットカードでの経費の支払い

クレジットカードで経費を支払うことも多くなりました。通常、仕入れでは買掛金を使いますが、経費では未払い金を使うと良いでしょう。
何かを購入した時
経費
未払金の課目の中に、使用クレジットカードの補助科目を作っておくと良いです。
銀行から引き落とされた時
経費

 

正式には以上のような記載をしますが、簡略化することも出来ます。
クレジットカード会社はあなたに変わって立て替え払いをしてくれています。経由しているだけですので、クレジットカードの引き落とし日に、通常の経費の記載方法で記載しても大丈夫です。
概略やメモにクレジットカード経由払いと書いておくと良いでしょう。
ただし、これは期中だけで行います。期末などでは購入していて、まだクレジットカードの引き落としがない場合があります。期末だけは上記のように未払金を使った記載をして下さい。そして、来期に引き落としがあったときに、未払金から振り替えます。銀行から引き落とされた時の記載です。

 

どちらの記載で行っても良いと思いますが、大事なことは、記載方法はいつも統一することと、課目はちゃんと記載することです。クレジットカードではまとめて一括で引き落とされますが、明細を見ながら分けて記載します。

 

経費

 

同じものがいくつもある場合は、その課目だけまとめて記載し、100円×10件などと摘要欄にメモしておいても良いでしょう。
要は通信費なのか消耗品なのか、電気代なのか、課目や補助科目が、個別にしっかりわかるようにしておく事が大切です。また、クレジットカードの明細は保存しておくのは当然です。最近はネットで見るだけのカードがありますが、その場面を印刷して保存しておきましょう。出来れば明細をおくってくるクレジットカードが良いでしょう。ビジネスカードなどはおくってきます。

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